蔵の中に住む胸を病む姉と、彼女を慕い看病する弟の妖しい関係を描く。横溝正史の同名の小説の映画化で、足本は「愛獣悪の華」の桂千穂、監督は「ザ・ウーマン」の高林陽一、撮影も高林陽一と津田宗之がそれぞれ担当。 誌「象徴」の編集者、磯貝三四郎のところへ、蕗谷笛二と名乗る青年が原稿を持ち込んで来た。「蔵の中」と題されたその小説の世界に三四郎は浸り込んでいった。--「蔵の中」に笛二と姉の小雪がひっそりと暮している。小雪は五歳のとき中耳炎で耳が不自由になって聾唖者となり、今は胸を病み、他人に伝染さないようにと、蔵の中に住んでいる。そこは、絵草紙、錦絵、能面などが散乱する頽廃美の空間。ある日、猛烈に咳こみ、喀血する小雪の唇を、笛二は吸い、その血痰を吐きすてた。姉に勧められるままに、笛二は唇に朱をさし、頬に白紛をぬり、弁天小僧の錦絵になぞらえて、美しく化粧をしたりし...
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